Victory Device™は、半導体デバイスの電気特性、光学特性、化学特性、温度特性をシミュレートする、デバイス・エンジニアのためのフレームワークです。シリコン並びに2元/3元/4元系材料のデバイスに対して、DC解析、AC解析、および過渡解析を2次元/3次元で実行できます。物理をベースとしたVictory Deviceのプラットフォームは、モジュール形式で、操作性と拡張性に優れています。Victory Deviceは、高度な四面体メッシュ・エンジンを使用して複雑な3次元形状を高速かつ高精度にシミュレートする、次世代の2次元/3次元デバイス・シミュレータです。Victory Deviceが持つさまざまな機能を活用することで、幅広いテクノロジを対象に半導体デバイスの特性解析および最適化を行うことができます。
ナノスケールのデバイス形状および将来のテクノロジ・ノードに対応するためには、さまざまな手法の統合、異種半導体材料の処理、電気特性/化学特性/熱輸送特性/光学特性の計算を可能にする、新世代のデバイス・シミュレーション・ツールが要求されます。デバイス・シミュレーションを利用すると、デバイス内部の物理プロセスの理解と描写に役立つだけでなく、次世代デバイスの動作について信頼性の高い予測を行うこともできます。新規デバイス構造をパラメータ解析により予測する上で、デバイス・シミュレーションは非常に有益です。2次元/3次元モデリングおよびシミュレーション・プロセスを行うことによって、現行デバイスと新規デバイスのどちらについても、その性質と動作をより正確に把握できるようになります。そればかりでなく、信頼性とスケーラビリティを向上することができ、同時に、開発期間の短縮やリスクと不確実性の軽減にも効果を発揮します。
Victory Deviceは、パワーMOS、LDMOS、SOI、サイリスタ、IGBTなどのパワー・デバイスの電気的振る舞い、熱的振る舞いをシミュレートできる機能を持っています。Victory Deviceに採用されている高度な3次元Delaunayメッシュ、それに対応した離散化法、および拡張精度解法により、SiCやGaNなどのワイドバンドギャップ材料に対して、高い安定性と精度を備えたシミュレーション結果を得ることができます。これらのパワー・デバイスを回路に組み込んで、内蔵のSPICE回路シミュレータによるシミュレーションを行うこともできます。
ホット・キャリア、ストレスおよび量子補正、トンネリング・モデルを利用して、FinFETやFDSOIなどの先端CMOSのシミュレーションを行うことができます。
この3次元FinFETのシミュレーションでは、完全な非構造格子型の3次元四面体メッシュを使って行います。メッシュ生成は、ドーピングおよび界面における細分化を含めて、すべて自動化されています。
SiGe、GaAs、AlGaAs、InP、SiC、GaN、AlGaN、InGaNなど、幅広い化合物材料に対応しているため、化合物半導体を使用した複雑なデバイスの解析を行うことができます。
Victory Deviceは高度な欠陥モデルに対応しているため、薄膜デバイスを解析することができます。
Victory Deviceでは、太陽電池、CMOSイメージ・センサなどのデバイスに関して、光電変換特性をシミュレートできます。光学シミュレーションには、レイ・トレース法とFDTD法のどちらも使用できます。
明暗条件におけるCMOSイメージ・センサの過渡応答を解析した、3次元プロセスおよびデバイス・シミュレーションを以下に示します。
Victory Deviceは高度な放射線シミュレーション・モデルを備えています。シングル・イベント・アップセット(SEU)やシングル・イベント・バーンアウト(SEB)、総ドーズ量、線量率などの影響について、定常状態解析、AC解析、過渡解析を行うことができます。
Victory Deviceでは、化学現象の停止、平衡、過渡を使用して、反応および輸送を含む電気化学効果のシミュレーションを行うことができます。シンプルで分かりやすいシンタックスを用いて、任意の数の化学種および化学反応を定義することが可能です。本機能は、性能劣化の調査、複雑な電荷捕獲機構のシミュレーション、原子種による電荷輸送のシミュレーションだけでなく、CBRAMおよびReRAMなど新規デバイスの動作検証にも使用することができます。