3次元非等温デバイス・シミュレーション・モジュール

Giga 3D™モジュールを使用することでデバイス・シミュレーションに自己発熱の効果を付与し、Device 3Dの機能を拡張することができます。Giga 3Dには、発熱源、ヒート・シンク、および熱伝導のモデルが含まれています。物理パラメータおよびモデル・パラメータは、局部格子温度に依存します。半導体デバイス方程式と格子温度は、セルフコンシステントに結合されています。

特長

  • セルフコンシステントな格子温度解析
  • 熱力学的に正しいモデル
  • ドリフト拡散方程式または液体輸送方程式と結合
  • 定常解析、過渡解析、およびAC小信号解析
  • 材料の熱伝導率のデフォルト・パラメータ
  • 材料の熱容量のデフォルト・パラメータ
  • さまざまなパラメータに対する格子温度依存性
  • ジュール、ペルチェ/トムソンの熱生成項
  • フレキシブルな境界条件の仕様
  • ドリフト拡散方程式と結合させるために、非線形ソルバを選択可能
  • 異方性熱伝導率テンソル
  • フォノンによる遅れを含む熱電効果定義

さまざまな用途

  • ESD保護構造の解析
  • パワー・デバイスのシミュレーション(整流器、サイリスタ、MOSFET、バイポーラ・トランジスタなど)
  • LED、SOI、HBT、HEMTデバイスのモデリング
  • デバイスの熱電シミュレーション
  • 熱暴走のモデリング
  • デバイス効率のモデリング

DCのオーミック熱

Giga 3Dでは、デバイス内の熱発生のすべての形態を考慮しています。ジュール熱、生成-再結合、およびペルチェ/トムソン熱生成項を、すべての半導体および光学方程式を使用してセルフコンシステントに解析します。DC、ACおよび過渡特性などすべてのシミュレーションでGiga 3Dを使用できます。パワー・デバイス向けのようにGiga 3Dの一番シンプルなアプリケーションにおいては、ジュール熱が唯一必要とされることもよくあります。次に例を示します。

上図は、Giga 3Dでの例証のために生成された3次元円柱形状のVDMOS構造の一部です。 ゲートの酸化膜の厚さは50nmで、シリコンは4umです。
VDMOS構造の格子温度は順方向阻止電圧の限界に偏っています。ドレインをヒート・シンクとし、ソースは300Kに保たれます。
VDMOS構造におけるインパクト・イオン化率の分布です。この図より、ソース-ドレイン間のドリフト領域でインパクト・イオン化率が高いことがわかります。このインパクト・イオン化モデルには、格子温度依存係数が含まれています。
チャネルで熱伝導モードになっているVDMOSにおける格子温度対ドレイン・バイアス電圧のグラフです。この過程でドレイン電流がより大きくなっていくため、 格子温度はゲート・バイアスと共に上昇していきます。
VDMOS構造で生成される全熱量を、上図のように2次元放射線状の断面図で表示できます。pn接合部もこの図で表示されています。 熱発生は主にnドリフト領域およびpベース領域の端で発生しています。
ボディコンタクト構造を持つ短いチャネル長の極薄SOIトランジスタのデバイス構造です。構造を明確にするために、トップの酸化膜を除去しています。シリコン厚は0.2umで、効果的なチャネル長は0.8umです。
ゲート電圧が3V、ドレイン電圧が4V時のSOIトランジスタの格子温度分布図です。
Giga 3D格子温度モデルを付加したものと、しないものとを比較したSOIトランジスタの典型的な特性を上のグラフで示します。ドレイン電圧が大きくなると、格子温度が上がり、移動度が小さくなり、それによって電流が減少します。この現象は負性微分抵抗(Negative Differential Resistance: NDR)と呼ばれ、これを正確にシミュレートするには、格子温度モデルが必要となります。
格子温度モデルまたは電界x電流密度を、熱の項として熱力学的な表示に使用します。上図は、3次元pn接合ダイオードに順方向バイアス電圧を印加した状態の1次元に対するこの2つの方法の間の差異を表しています。一番上にネット・ドーピングのプロファイルを、中央に電界強度、一番下に全熱量を表しています。ネット電流は電界に左右される拡散電流であるため、接合において負の電流になります。これにより、冷却効果が生じます。熱力学的に正しいモデルを使用することで、この問題を避けることが可能です。

結合された温度と容量のAC解析

AC解析モードでのGiga 3Dの機能を次に示します。これによりAC信号が加えられたことにより生じる一時的な自己発熱の効果がわかります。熱応答時間により、いかに方程式が熱容量および熱伝導を考慮しているか、およびいかに熱応答時間がテスト中のデバイスの計測された容量に影響を与えているかを確認できます。

また、Giga 3Dを過渡モードで使用すると、ESD保護デバイスの性能を検討できます。この場合、Giga 3DをMixedMode 3Dと連携させて使用し、テスト中のデバイスに対するAtlas3次元デバイス方程式をセルフコンシステントに解析します。その際、通常マニュアルまたは金属加工機械により行う、静電気放電を起こすデバイスを表すためにSPICE素子を使用します。Giga 3Dには、業界標準のSPICEの抵抗/キャパシタ・モデルが含まれ、このようなケースを表すために使用できます。

順方向に1V印加時のpn接合ダイオードにおける電極間容量のACの小信号依存性です。 低周波では、AC格子温度は交流駆動電圧により変化し、容量を変化させます。 より高い周波数では、格子温度は駆動電圧に反応せず、振る舞いは断熱的です。 この範囲では、容量はGiga 3Dを使用せずに得た容量と同等になります。

光特性と自己発熱を結合させた効果

デバイス内の生成-再結合による、または光学的再結合により生成された熱による自己発熱効果のすべてをGigaでは正しく分析します。この機能により、デバイス内の熱分布が光学的熱アニール(たとえば、RTAランプ、または再結晶化のためのレーザ・ランプによる)段階において計算できます。次の例では、発光ダイオード(LED)内における自己発熱効果を示します。

これは、GaN-InGaN-AlGaN LED構造における温度分布です。 電極間に6Vのバイアス電圧が印加されています。
LED構造における生成された一定の熱量面です。

Rev.110613_02